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日々是味方

「見方を変えれば味方に変わる!」
日々の生活の何気ないことから学べることは沢山あります。
それは一見ちょっとしたことであっても自分自身のアンテナに引っかかるかどうかではないでしょうか?
 日々生活する中での気づきや思いについて、時に熱く語ります。

師匠と弟子。


先週末は落語を二日間堪能した。

二日目は桂宮治さんの真打披露。

口上で伸治師匠が彼はとても優秀で一度しか叱ったことがないと話し始めた。

食事は師匠と同じものかそれ以下の値段のものを注文するのが常識だが

蕎麦屋で師匠が天ざる、宮治さんはラーメンを頼んだことがあり、

「なぜ蕎麦屋でラーメンなんだ!」と叱ったと。

 

しばらくして師匠が再び他のメンバーで同じ蕎麦屋に行った際、一人がラーメンを頼んだ。

「蕎麦屋のラーメンは魚の出汁が効いていて美味しいから」と聞き、

やっと納得した、という話だった。

「師匠から電話がきて謝ってくれたんですよ。あの時怒ってごめんな、って」と宮治さん。

えっそうだっけ?謝った?と師匠は覚えてないようだ。

宮治さんがラーメンにした理由はその方と同じだったが、ただただ謝って食事をしたという。

 

弟子を優秀だと称え、謝った記憶が無いという師匠と

自分の意図を言わず、師匠が謝ってくれたと恐縮する弟子。

とても清らかなやりとりを見聞きすることができた。

 

はじめはなぜ(宮治さんが理由を)言わなかったんだろうと思った。

言えば師匠の怒りは早々に収まったかもしれないのに。

でも最後まで聞いて、“師匠に叱られた”という意味が

サラリーマン生活が長かった私には理解できなかったのかも、と思い直したが

今はまたそれも少し違った、と思う。

 

司会役の談春さんが

「自分の腕前はどうよ、という今どきの子ではなく、

本当にお客様に喜んで欲しいと歩み寄る、最後の逸材かもしれません」等とベタ褒めだった。

その内容と間近(一列目!)で見た宮治さんの様子から

“蕎麦を頼むべきだろう”という師匠の気持ちを受けとめた。

だから何も言う必要がなかった、が多分彼の本心のような気がする。

 

宮治さんの演目は「青菜」。

私は落語家さんがお酒や食べ物を美味しそうに食べる話が好きなので

とても嬉しかったし、今まで生で聞いた誰よりも笑った。

宮治さん=(イコール)青菜、になった。

次は何が聞けるか楽しみだ。

 

(書き手 ジャスミン)