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読書も味方

「読書ってホントに面白い!」
読書離れも叫ばれる中、本を読まない方も多くなってきています。
しかし、ビジネスパーソンにとって読書は学びの宝庫であり、日々の仕事の課題を解決するためのヒントや答えが目白押し。
どんなジャンルであっても、読書は仕事において自分を助けてくれるものと信じています。
本は読みだすととても楽しく、まさに至福の時間です。
普段から読書をする方でも、しない方にも、読んできっと楽しめる本を紹介していきます。

「会社を潰すな!崖っぷちの社員たちの企業再生ドラマ」を読んでみた。


内容紹介

「究極の実務ビジネス小説!」「はじめて『決算書って面白い!』と思えた」「痛快な快進撃。明るい気持ちをくれるさわやかな読後感」「新しいことをしたいけど、一歩が踏み出せない。そんな方におススメの作品」「ビジネスに関わる全ての方へ、まず読んでおいて損はない一冊です!」(NetGalley会員レビューより、一部抜粋)

 

倒産寸前の赤字書店へと出向を命じられた銀行マン・鏑木健一(かぶらきけんいち)。

 

期待と不安を胸に書店のドアを叩くと、待っていたのは会社経営に無知な女社長と、鏑木を敵視する6人の店長たちだった。

 

しかし、鏑木の情熱に社員たちの心に少しずつ変化が……。

 

虚実交えた迫真のストーリーで、決算書の読み方からマーケティングやマネジメントの基本までが自然と身につく、ビジネスエンタメ小説!

 


虚実の中に隠れた実学

読書が苦手な方にとっては本を読むこと自体がなかなか慣れないでしょう。

 

読書が好きな方でも難しい本になると睡魔が襲ってくる・・・なんて人も多いのではないでしょうか(私です)。

 

そんな方たちでも、予備知識がなくても小説形式でビジネス知識を学びながらストーリーも十分に楽しめるのが本作。その背景を知るとより面白さが増していきます。

 

ズバリこのストーリーには虚実が何重にも入り混じっているそうです。

 

本作は、石川県金沢市に本社があり、県内に6店舗を構える架空の書店チェーン「クイーンズブックス」を舞台にしたフィクション。

 

倒産寸前だった「クイーンズブックス」に、地元の銀行から出向してきた主人公が、専務に就任し、企業を再生していく・・・というのが大まかな流れですが、ここは全くのフィクションではないらしいのです。

 

著者である小島氏は、出版取次会社の執行役員、九州支店長などを経て、四国・中国・九州地方を中心に約90店舗を展開する書店の社長として経営に携わったことがあるそうで、長らく経営不振だったその書店を、正社員を1人もリストラせず2年で業績をV字回復させた実績がある方。

 

本作にはその書店を再生に導いた手法が、「虚」に中の「実」として数多く散りばめられているからこそ学びが深いのだと思います。

 


有名なコップの水の話

ストーリーの中で主人公のある提案が、既存の店長だけではなく社長までもを怒らせてしまった日。夜、なじみのお店のママのとのやり取りの一コマ。

 

ママが面白い話を教えてあげると言い、話したのは「コップの水が半分残っている」というもの。

 

「コップに残った半分の水を見て『もう半分しか残っていない』と思うのか、『まだ半分も残っている』と思うのかの現状認識の差を表す話だろ?」と主人公は言います。

 

それを聞いたママは「そこまで知っているのが凡人レベルで、本当は、そこから先が面白いの」と主人公に新たな気付きを与え励ます場面があります。

 

そのセリフについてはここで明かすと本書を読む楽しみがひとつ減ってしまうのでここでは紹介しません。ぜひ読んでみてください!

 

ただシチュエーションが違えど、このような他者からの学び・励ましで乗り切ることが仕事をしていると誰しもあると思います。

 

こういったことが働く意義と意味と私は思っているので自分自身に置き換え、胸が熱くなる場面でした。


プレゼンと説明の違い

仕事において常に付きまとうのが他者への説明やプレゼン。

 

私も決して得意な方ではありません。漠然ともっと伝える力を強化したいとは常々思っていますが、あまり深く考えたこともないかもしれません。

 

そんな中、作中で会社の命運をかけたプレゼンの前に社長からの「プレゼンと説明の違いは何?」との質問に主人公は似てはいるがその言葉の決定的な違いについて答えます。

 

「説明は『事実中心の解説』で、プレゼンは『事実+感情』といい、相手への思いがなければプレゼンにならない」と明確にしてくれたのを見て、私もなるほどと思いました。

 

他者からの提案などを聞いていても、確かに想いが伝わってくる時には自分自身も伝わってくるものがありますし、逆にこちらが提案するときも相手に伝えたいと心から思うものがあるときは相手も納得してくれたなと。

 

能力や技術も大事ですが、それ以上に想いがないと成り立たないのは仕事をする上で大切なことであり、大事な視点だなと改めて読んで感じた次第です。


まとめ

冒頭で著者は「この本には、ビジネスパーソンに必要とされる『社会人の基礎知識』がギュッと詰まっている」と言っています。

 

確かに読んでみて納得です。様々な経営理論やビジネスマナーまでを自然と学べるようになっています。

 

働く人にとってはどんな仕事にも活きるエッセンスがある良書と思います。たぶん若手社員や読書が苦手という方にこそお勧めです。

(書き手 枝町旭展)